留保金課税

先日の国政選挙で希望の党が企業の内部留保に課税するという主張をしていたため、よく「留保金課税」という言葉を新聞等で目にしました。

希望の党が主張する内部留保に対する課税の詳しい内容は全く不明ですが、単に利益を積み上げている会社に課税をしたいという程度の短絡的なものと推定されます。一方で「留保金課税」というのは、同族会社の役員が節税目的で会社に利益をため込んでいる場合に限って課税を行うというものであり、希望の党の言う内部留保とは全く異質なものです。

では、節税目的なのか否かはどのように判定するのかということですが、明確な線引きはできません。会社の業種、業態によってもストックとして貯めておきたい資産の金額は異なります。当然2重課税という批判もあります。

結果として留保金課税は平成19年法人税改正によって実質的に廃止となりました。制度としてはまだ残っていはいますが、資本金が1億円以上の同族会社に限定されているため、かなり限定的となっており、税理士の中にはすでに制度として無くなったと勘違いしている方もいらっしゃると思います。

このように、企業の内部留保への課税というのは、過度な節税の防止という観点から行われていた制度であり、利益をため込みを防止するためではありません。

税に関する提案は、思い付きではなく、もう少し制度設計をきちんと検討してから公表しなければ、今回のように、大きな批判を受けることとなります。